『この世で一番おもしろい統計学――誰も「データ」でダマされなくなるかもしれない16講+α』を読んで
私が担当する「計量経済学」の講義では、言うまでもなく統計学を前提とした科目。
でも、統計学を履修済みでない学生も多い。
そもそも受験で数学を使わないで入ってくる学生もいる。
(経済学を専攻するのに、数学ⅠAだけで許容する入試制度がおかしい、っていうツッコミはさておき)
そういった学生を相手に計量経済学を教えるとなると、どの程度、数学や統計学を盛り込んで展開すればいいのか、悩ましいところ。
ギリシャ文字を見るだけで逃げ出したくなるわけだから、細かい数式の展開はできるだけ抑えたほうがいいかなと思ったり。
「理論を理解する」のが目的ならば、バリバリ数学を使うことになるけれど、「分析目的に応じて使いこなす」のが目的ならば、工夫の余地はあるのかも。
「どの場面でどの手法が使えるのか」
「得られた分析結果をどのように解釈できるのか」
を習得できればいいと思っている。
であれば、数学や統計学の知識が「ほぼない」学生に対して、必要最小限の理論&豊富な実践の場を提供するのがよいのではないか。
そのためにも、学生の拒絶反応を減らし、補助教材になり得る書籍を探しているところ。
そこで、『この世で一番おもしろい統計学 誰も「データ」でダマされなくなるかもしれない16講 [ アラン・ダブニー ]』を読んだ。
文字数は漫画の割に多い気がして、小説形式の方が分かりやすいかなと最初は思ったけど、読み進めていくうちに慣れた。
面白いかどうかはさておき、「こういう教え方があったのか!」という気づきの多い本。
あれこれ欲張らず、一番だいじなエッセンスに絞って、分かりやすく伝えている。
これさえ分かれば、あとは細かい話だから、どんなケースでも大筋を見失わないで済む、というスタンスがかっこいい。
いちいちシュールな事例が出てくるのもいい。
来年度は難しそうだけど、再来年度の教材として参考にしながら盛り込ませてもらおう。