『まちで闘う方法論:自己成長なくして、地域再生なし』を読んで
木下斉著『まちで闘う方法論:自己成長なくして、地域再生なし』を読んだ。
先日読んだ『凡人のための地域再生入門』で衝撃を受けたので、この方の本はひと通り読みたいと思ったので。
そしたらまたまたホームラン本!
『凡人のための地域再生入門』のストーリーに盛り込まれた智恵を、改めて普遍的なかたちでインプットできた。
そして、量も質もぎっしり。
巷のビジネス書より情報が濃いのに、これで1,800円とか、いいんですか?っていう。
地域活性化事業で実際に「稼ぎ」を生み、自分も食べていきたい人に必要な情報が、体系的に、網羅的にまとめられている本。
自分の弱点を補強したり、強みを伸ばしていくため、次なる一手としての推薦図書も充実している。
入門書としても、実践書としても読める、骨太で味わい深い本だなぁ。
これまた学生にも紹介しないと。
正直、すべての記述が学びにはなったのだけれど、敢えて3つの気づきを挙げるならば…
①再挑戦こそ、真価が問われる「本当の挑戦」。
高校のころから地域活動に取り組んできた著者も、「二度と地域に関わるものか!」っていう挫折経験があるんだとか。
地域の取り組みに一切関わらなかったおかげで、その充電期間に新たな知識や経験が得られたそう。
挫折=新陳代謝
無理に続けるんじゃなくて、いったん冷静になって、流れに身を委ねたり、意欲が湧くまで別のことに挑戦する。
そうしてまたやりたくなったら、徹底的にやる。
そういうメリハリ、緩急をつけるあり方でいいんだと勇気づけられた。
②本当に必要なものは、事業として成立する。
公的領域というのは厄介で、「公共サービスだから」という大義名分から、採算度外視の事業が横行しているのも事実。
補助金はある意味「他人のお金」で、運営側はどうしても責任感や本気度に欠けてしまうもの。
著者はこの点を何度も鋭く指摘している。
「自治体や国からお金を受け取ったら、その金額以上の歳入を増やすか歳出を減らす効果を地元に生み出す事業を構築するのが筋」と。
いつまでも補助金にぶら下がっているんじゃなくて、「自分たちで稼げる仕組みを作り上げる」という気概がなければ、どんなに予算があっても足りないわけで。
みんなが「必要」と口では言っていても、誰もお金を出そうとしないものって、結局は誰の心にも刺さっていないのよね。
本当に必要だったら、どうにかしてお金を払う。
だから、明確なターゲットを定めて、その人がお金を払ってでも欲しいものを作ることで、事業は成立する。
お金とか利益から目をそらしているうちは、地域おこしなんてできないということを教えてもらった。
③地域の衰退は、「投入資源」or「資源を投入する仕組み」が間違っている場合に起きる。
地域の問題を「思いつき」ではなく、論理的に捉える必要があるという。
「投入資源(ヒト・モノ・カネ)」×「資源を投入する仕組み(方法)」=「結果(衰退or発展)」
何が問題になっているのか、このように構造的に解明してはじめて、解決策を考えたことになる。
たしかに、人は自分に都合のいい情報しか集めないし、同じような価値観の人たちがいくら集まって話し合ったって、偏りは生まれるわけで。
フラットに、中立、中庸で考え、小さく実践して結果を見つめることが重要なんだね。