『百年企業、生き残るヒント』を読んで①
大学院の先輩でもあり、我らが浜田市の市長・久保田章市著『百年企業、生き残るヒント』を読んでいる。
企業は長ければ長いほどいいのか、新陳代謝を上げて短いサイクルで回すのがよいのか。
正解はないのだろうけど、経営者の心理としては、やはり潰したくはないはず。
実は日本って、世界的にみても「ご長寿企業」大国でもあるらしい。
日本には、1400年以上も続く企業があるとか。
アメリカはともかく、ヨーロッパやアジアではもっとご長寿の企業があるんじゃないかと思ったら、案外そうでもないらしい!
本書に挙げられていない国も多く、記録やデータが整備されていないだけかもしれない。
そういった事情もあるのか、本書では明記されていないけど、さすがに1400年以上も続く企業「金剛組」を超える国はないもよう。
そんな「ご長寿企業」を、本書では「創業100年以上の企業」と定義して、その秘訣を紹介している。
今日は第1章「日本の長寿企業」を読んで得られた気づきをば。
①日本には、創業1000年以上の企業が19社、500年以上の企業が124社、200年以上の企業が3,113社、100年以上の企業が約5万社あるといわれている(後藤俊夫氏の推定)。
本書が書かれたのは2010年だし、参考文献にある後藤俊夫氏の著書も2009年のものだから、
今となっては細かい数字の変動は当然あるだろうけど。
これらご長寿企業のうち96%が中小企業で、その半数は家族中心の経営なんだとか。
意外や意外、同族企業は難しいとよく聞くもんだから、違うと思ってた。
その秘密は後述。
②長寿企業はモノを作って売るビジネス(製造業&卸・小売業)が多い。
逆に建設業やサービス業が少ないのは、経済発展や社会の変化を反映しているとも言える。
製造業や卸・小売業のなかでも、地域の人々の生活に密着した「食」や「衣類」が中心。
③日本に長寿企業が多い理由は、「伝統的な『家』制度の存在」&「伝統の継承と革新に取り組んできたこと」。
たしかに江戸や明治から続く企業というのは、元々「家業」として始まったものが多いわけで。
長男が継いだり、跡継ぎがいないだけで廃業したり。
…と思ったら、「養子制度」の下で、優秀な養子に継がせて発展させた例が結構あるんだとか!
やはり親子だと、意思疎通の難しさや感情論が入りすぎたりするけども、
適切な距離感のある他人をきちんと育てれば、家族経営のメリットを享受しやすいのかも。
それから「伝統の継承と革新に取り組んできたこと」について。
ご長寿企業は、「変わらないもの」と「変わるもの」のメリハリをきっちりつけているみたい。
「顧客第一主義」とか、「本業重視の堅実経営」とか、「品質・製法の維持継承」とかは変えず、
「顧客ニーズへの対応」や「販売チャネルの開拓」などは変えていく。
なるほど、全く何も変えず、新しいことにも挑戦しない、頭の固い企業は淘汰されているというわけか。
だからこそ、世の中の動きをよく観察し、「時代の半歩先を行く」姿勢が大事なんだということを教えてくれる。
単に情報を「受け取る」だけでなく、「取りに行く」努力が常に必要。
本を読んで、セミナー・講演会に行って、実際にトライ&エラーを積み重ねる。
この情報化時代にあって、経営者でなくとも、私たち一人ひとりが心がけなくてはならないことだね。
変えたいものは何か。変えたくないものは何か。何事も、メリハリ、緩急は大事なんだな。