地域が衰退した理由
地域産業の後退、就業機会の縮小・不安定化は
いったいなぜ起こったのか。
これについて岡田(2020)は、
「二重の国際化」を指摘している。
まずは「企業の海外シフトと資本蓄積の国際化」。
地方に立地していた工場は閉鎖され、
国内に新しく工場を立地させる案件も減り、
日本の製造業は海外への生産シフトが進んだ。
そして「政策の国際化」。
オイルショック後の80年代前半、
日本の自動車&電気機械メーカーは、
アメリカやヨーロッパへ「集中豪雨型輸出」をおこなった。
当時、財政赤字と貿易収支の「双子の赤字」に苦しんでいたアメリカとの貿易摩擦。
85年のプラザ合意で円高ドル安の合意に至るも、
さらなる抜本的政策が要求された日本。
内需主導型経済構造に転換するために、
規制緩和や農産物貿易の自由化などが求められた。
農産物が輸入促進政策の対象になったことで、
国内の農業や地場産業は価格競争に敗れ、衰退が加速していく。
誰のための地域なのか、その視点を忘れてはいけない。
参考文献:岡田知弘(2021)『地域づくりの経済学入門』自治体研究社