地域の暮らしを支える自治のしくみ「契約講」
「住民同士、支え合いながら、自然と共存していく」。
言葉にするのは簡単だけど、今の時代、それを実現するのはとても難しい。
でも、それをずっと受け継いできた集落はある。
「NHK地域づくりアーカイブス」にて、
「ETV特集」の
「揺れながら 迷いながら ~民俗研究家・結城登美雄が見た三陸~」
(2022年3月12日放送)を見た。
震災後も人口をほぼ維持し、若い漁業後継者も多くいるというのが、宮城県南三陸町歌津泊浜。
ここの住民のほとんどは漁業従事者という、漁師町。
集落のまとまりのカギは、昔から続く「契約講」(契約会)と呼ばれる自治組織。
防災や害虫駆除など、相互扶助の精神で住民たちが活動を企画・運営し、暮らしを支えてきた。
地域でやれることはやる。それをこの地域では「結っこ」というらしい。
東北には契約講がかつてあったということで、泊浜では今もほぼ全戸が参加していている。
たとえば、小学生の地引き網漁体験などの行事では、子どもたちが魚に触れる楽しさを体験している。
ちょっとしたつかみ取りとか解体ショー程度の体験ではなく、大規模な地引き網漁なので、インパクト絶大。
他にも、アワビ養殖などで捻出した利益を、地域の共有財産として、契約講の活動財源にあてているとか。
「集落には地震に耐えられる集会所がない」ということで、契約講の活動財源からおよそ6000万円を使って、高台に集会所を建てた。
のちに発生した東日本大震災にもちゃんと耐え、その際は避難所として活用されたという。
なんという危機意識の高さ。
時代の流れに伴うコミュニティ崩壊の波に、そのまま飲まれることなく、「自分たちで考え、行動していく」精神。
そういう大人たちが集落を守っていて、さらに若者を大事にする意識が、集落を存続させているのだな。
そして自然の厳しさを、みんなで支え合って乗り越えていく歴史が、この地域にはあるんだろう。