民活型巨大プロジェクトが地域に残したもの
1980年代の四全総時代、
大規模なプロジェクト型地域開発が各地でおこなわれてきた。
この背景には、アメリカとの貿易摩擦を受けて
内需拡大路線に進もうとして、
「公共投資」っていう発想に至ったのもあり。
あるいはオイルショック後の構造不況のなかで、
重厚長大型産業で組織されたJAPICが、
大型プロジェクトを積極的に提案してくるのもあり。
でも、関西国際空港はじめ、
そういった民活型巨大プロジェクトというのは、
- 地元の自治体&周辺自治体の財政負担が大きい
- 受注企業の多くは、東京本社や大手ゼネコン、外資系など、地元企業に回ってくる仕事が少ない
- 地価高騰&再開発により、住民の追出し効果や地場産業の衰退を招く
- 完成後、出資費用を回収するのが困難
など、地域に残された負債に対して、
東京本社に利益が集中する構造に拍車をかけるだけだったりする。
よく、授業でも公共投資の経済波及効果を算出したりするけれど、
それによって誰が得をするのかまで教えないといけないなと再認識。
金額だけみると、「地域にこれだけ還元されるのね」って思っちゃうけど、
その担い手が地元企業じゃないんだから、
推計過程でその現実を反映しないといけないわけで。
私の本社の研究が、そこにつながるといいな。
参考文献:岡田知弘(2021)『地域づくりの経済学入門』自治体研究社