無理せず楽しんで獣害対策ー知らずにエサ場を作っていた?
「NHK地域づくりアーカイブス」にて、
「ふるさとグングン!」の
「獣害対策でみんな元気に~南相馬市小高区」
(2020年1月26日放送)を見た。
東日本大震災による避難指示が4年前(放送当時)に解除され、住民の3分の1以下が戻ってきた福島県南相馬市・小高区。
しかし、人がいなかった5年の間に野生動物が地域に住み着き、せっかく農業を再開しても、ほとんど食べられてしまう。
「結局サルの餌になるんだから、そんな大変な思いしてまで農業を続けることはない」と息子に言われても、「私の好きなことだから」と頑張ってるおばあちゃん。
市役所も、「獣害があるから南相馬市には帰らない」という人のために、あれやこれや対策を講じているところ。
震災の爪痕は、こんなところにまで。
「復興」って、お金や時間だけでどうにかなるものではないんだと痛感させられる。
そこにやってきたのが、獣害対策のスペシャリスト、「雅ねぇ」。
「雅ねぇ」は、発想を転換して、動物の身になって考えてみることが大切だと、南相馬市の人に語る。
農家は「被害」とみるけれど、それは人間の都合でしかない。
動物はただ、安心して食べて生きていたいだけ。
動物に食べられたということは、動物にとって「安心して食べ物を得られる場所」とみなされたから。
動物の目で考えると、獣害の原因は人間の側にあることが分かるそう。
目の前に草が生い茂っていたら、それは「潜み場」になる。
潜み場と餌を両方揃えてプレゼントすることを、「餌付け」という。
「雅ねぇ」はユーモアのある語り口で、獣害の本質をレクチャー。
さらに、みんなで「雅ねぇ」と一緒に、イノシシに食い荒らされてる畑を見に行く。
そこで「雅ねぇ」は、イノシシの寝床になる茂みを指摘。
茂みを撤去するか、枝を剪定するかといったアドバイスをもらった。
さらに、住民の3分の1しか戻っていない小高区では、空き家が多数。
空き家の周りには、動物の潜み場になる茂みが広がる。
これをちょっときれいにするだけで、動物が寝ないようになるとか。
それから、サルの被害を受けている畑。
周りはぐるっと電気柵で囲っている。
さらに作物をネットで覆っても、縫い目や下の隙間から入ってくるらしい。
これでトウモロコシは全滅。ひいいい。
すると「雅ねぇ」は、「畑に伸びているあの木から飛び移れば、サルが入ってくる。周りの高い木は切っておくこと」とアドバイス。
固定カメラで録画しておくと、たしかに、木から柿を食べたサルがそのまま畑に侵入していた。
ちょっとびっくりしたのは、獣害っていうと、1匹や2匹がちょくちょく来てる感じかと思いきや、ここで写っていたのは、サルの軍団だった。ちょっと怖いレベル。
こんなのが日常的に来たらなんもできないわ…。
でも、「雅ねぇ」はこれを見て、「これを餌付けといいます」と。
小高区の人々も、徐々に、「自分たちが餌を増やしていたんだ」と認識。
最後に「雅ねぇ」は、高齢や避難のため農作業ができない人たちの代わりに、地域の田んぼを守っている佐藤さんのところを訪問。
ここでは、電気柵もものともせず侵入してくるイノシシが、米を食い漁っている。
「雅ねぇ」はこれを見て、電気柵の電圧が下がっていることを指摘。
電気圧をチェックすることをアドバイスした。
それでも、「田んぼを荒らしたくない、守りたい」という佐藤さんの気持ち自体が、この地域の宝であると、「雅ねぇ」は語る。
「そういう気持ちがある地域は、ほぼ100%獣害は止まる」
「被害はあるけど、明るい材料はいっぱい」
こんなこと言われちゃったら、泣いちゃうよね~
「地域を守りたい」という気持ちが、その地域の宝であり、明るい材料である。
「雅ねぇ」にはぜひとも、本を出して全国の農家を救ってほしい!