獣害対策、コツは無理せず楽しんで
「NHK地域づくりアーカイブス」にて、
「ふるさとグングン!」の
「獣害対策でみんな元気に~南相馬市小高区」
(2020年1月26日放送)を見た。
南相馬市小高区の住民たちは、知らずに動物のエサ場を作っていたことに気がつき、島根県美郷町の視察ツアーに参加。
島根県のなかでも美郷町は、たしかに地域づくりが盛んな地域という話をよく耳にする。
南相馬市小高区の人たちはまず、獣害対策に取り組んできた共同農園、「青空サロン農園」を訪れた。
ここでは、「雅ねぇ」が、住民たちと猿やイノシシの生態を研究した成果があちこちに見受けられる。
たとえば、キウイの木の幹を低く剪定して、高齢者でも楽に収穫できるようにしている。
そうすることで、すべての実を収穫できるので、獣害被害も減らせるそう。
他にも、イノシシが穴掘りできないよう敷き詰められた竹や、猿が乗り越えにくい電気柵といった工夫があちこちに。
こういった獣害対策は、結果的に、近隣の空き家に動物が入ってくるのも防いでいる。
そうして獣害は、地域全体から姿を消しつつあるという。
地域の面白いところは、こうやって一つの出来事が派生して他の出来事に影響するのが見えるところ。
さらに美郷町では、獣害対策がきっかけで様々な地域おこしが実施されている。
たとえば、イノシシの革を使った、キーホルダーや財布などの商品作り。
週に一回、世間話をしながら作業し、気軽に楽しめる場となっている。
他には、フランス料理のシェフが考案した、イノシシ料理の缶詰も生産しているそう。
こういった取り組みのなかで、生きがいと雇用が生まれ、地域が元気になっている。
最後にツアー参加者は、「雅ねぇ」に招かれ、ざっくばらんに「本音」で語り合った。
南相馬市小高区の人から語られる、震災の打ち明け話。
放送時は既に10年近く経っていたけれど、これも立派な自己開示だ。
美郷町の人も、
「できることを無理せず楽しんでやっていこう」
「人口減少とか少子化とかっていう現実は変えられないから、今いる人がなんとかやっていく」
「やれることからやってみる。そうすると見えてくるものがある」
といった応援の言葉をかけていた。
ただの視察に留まらず、日本人の食卓を支える生産者同士が、こうして学び合い、本音で語り合い、つながり合っている。
島根県は、自然と「共存」する精神の強いところだなと思っていたけど、今回のお話でより実感した。
しかも美郷町は、獣害対策に留まらず、地域おこしまで展開しているなんて、パワフルな地域だなぁ。
ここに出てきた、週に一回、世間話をしながら商品作りをする活動は、学生と地域住民の交流の場にも応用できそうだ。
石州和紙とかで何かできないかな。