
高校生の県内就職を増やすには
「NHK地域づくりアーカイブス」にて、
「ETV特集」の
「揺れながら 迷いながら ~民俗研究家・結城登美雄が見た三陸~」
(2022年3月12日放送)を見た。
若い世代が、地元企業に就職せず県外に出ていくと、企業のみならず、地域全体の力も弱まる。
大卒でもそれは言われていることだけれど、今回は高卒生のお話。
高校生の県内就職率が、全国3位の石川県。
石川県では、景気に関わらず、継続的に高校生を採用するための工夫がみられる。
ある企業は、ニッチだけれども高い技術力で知られており、定期的に地元の高校に足を運んでいる。
なんと、業績に関わらず、30年以上その高校に求人を出し続けているのだとか。
毎年、高校の進路指導の先生に会いに行くことで信頼関係ができ、先生も安心して高校生を送り出すことができるという。
2位の富山県では、「14歳の挑戦」が、地域で働く意欲を高めている。
これは、中学生が地元企業に赴き、大人と同様、1日7時間×5日間働くという、富山県独自の取り組みらしい。
「地元の人に喜んでもらえる」という、地元で働くことの意義を体感する貴重な機会。
そんななか、全国最下位の宮崎県でも、「就職支援コーディネーター」が活動している。
たとえば、保護者に地元企業の魅力をアピールするツアーを企画。
自分の子どもが将来働くイメージを掴んでもらうべく、若い社員との交流の機会もあるよう。
ううむ…。
大学教員として、この「県内就職率」の問題はよく考えるけれども。
「地元」の高校、大学の人間としての立場なら、
「県内就職率を上げる!」っていうのは、避けては通れない道なのかもしれないけれど。
そもそも、こうやって、県内出身者を「囲う」みたいなところに疑問がある。
島根県で育ち、島根県に誇りをもち、島根県で働き、骨を埋める。
そういう人がたくさんいるのはとてもいいことだし、
本人が心からそう望むのなら、そういう人生もアリだとはもちろん思う。
でもなあ、みんながみんな、「外の世界を知らずに」っていうのもなあ…。
それぞれの地域が若い世代を、悪い言い方すれば「土地に縛り付ける」みたいな風潮になっていないか、ちょっと心配。
「奪われたくない」って躍起になって、ヘンに力が入ると、ろくなことない気が。
それから、東京から島根にIターンという、ちょっと特殊な人間からすれば、
地方の「ほのぼの感」に染まりすぎも、あんまりよくない気がする。
(これは東京出身者ならではの感覚だと思う。
ひんしゅくを買うだけ損なので、なかなか口には出せないことだけど)
島根に来て数ヶ月。
同じ日本なのに、こうも時間の流れに違いがあるのかという衝撃も、日に日に薄くなっていく。
そう思うと余計に、「異種の風」が必要と感じる。
かつて読んだ本にもあったように、「一人一地域」じゃなくて、「一人複数地域」みたいなあり方もいいんじゃないかな。
「奪い合う」「囲む」みたいな、閉鎖的なあり方じゃなくて、もっと開放的に、「シェアし合う」時代が来ているわけだし。
日本よりずっと人口が少なくても、GDPや平均給与が日本の2倍の国だってあるわけで、「生産性」っていう視点も大事じゃない?
そういう「価値観の変容」も、地方になるほどタイムラグが出てしまうんだろうか。
本当に、「県内就職率」が大事ですか?
