
かつてあった暮らしの思い出を語るツアー
リピート率の向上に必要なのは、「楽しさ」であり、ポジティブ感情であることを、もういちど思い返してみよう。
「NHK地域づくりアーカイブス」にて、
「あの日 わたしは~証言記録 東日本大震災~」の
「宮城県仙台市 佐藤正実さん」
(2018年10月10日放送)を見た。
震災後、かさあげ工事が進んだことで、かつての面影が失われつつある宮城県仙台市蒲生地区。
ここの住人たちから思い出を聴く「3.11オモイデツアー」を開催するのは佐藤正実さん。
「どの町も同じに見える」と参加者に言われたことがきっかけで、
知らず知らずのうちに、町の面影を前提に紹介していたことに気づいたという。
そんなことから、「地元の人たちの思い出を使った交流」をツアーで重要視することに。
地元の人たちを巻き込んで、思い出を語ってもらうことにした佐藤さん。
写真や絵をプロジェクターに映しながら、思い出話に花を咲かせるおじいちゃんおばあちゃん。
和気あいあいと、活気ある空間。すてき。
被災地のツアーというと、悲惨な現状を伝承するイメージだけど、
住民にとっては、苦しい体験を何度もアウトプットしていくわけで、記憶が強化されやすいというリスクはある。
でもここでは、楽しい経験をアウトプットする、っていうのがいいね。
みんなキャッキャキャッキャしてて、どんな娯楽にも代えがたい空間になっている。
そんな楽しい思い出話を聞きたいと、くりかえし参加する人が増えるのはもちろん、震災でバラバラになった住民たちの交流の場にもなっているという。
「楽しい」という感情が、「また会いに行きたい」という感情につながる。
だからこそ、何度も足を運んでもらえる場所になる。
かつての面影を語るのは切ないけれど、「楽しさ」を見出してそこにフォーカスする力が集まって、新たな地域交流を生み出している。

