読書記録

『読書脳』を読んで

樺沢先生の新刊『読書脳』を読んだ。

この本は、8年前に出された『読んだら忘れない読書術』の新版であるという。

私も数年前に、この『読んだら忘れない読書術』を読んだことがある。

樺沢塾でも「深読」の方法は紹介されていて、
それに基づいたテンプレートを自分で作成して印刷し、それに書き込みながら読むようにしている。

そのテンプレートというのは…

  • その本を選んだ理由
  • その本を読む目的
  • 読む前に思った疑問・問題設定
  • それについてどんな立場・価値観で書かれているかを予想(仮説を立てる)
  • 3つの気づき・名言(そのうち1つの「ベスト名言」に◯をつける)
  • ベスト名言に対する共感ポイント・理由・自分の考え
  • 3つのTO DO✕4週間分のチェック項目
  • まとめ
    • before(この本を読む前の自分の状況・悩み)
    • ベスト名言・気づき
    • ベストTO DO(1番効果があった・今後も継続したい習慣)
    • after(どんな効果が得られたか)

…といった感じで、これらを書きながら読み、4週間実践しているので、
なかなかに深読できている…というか記憶に定着しているとは思う。

ここにきて新版が出たということで、
「まだできていないこと」「忘れていたところ」「新たな発見」を探すために読んでみようと思った。

まず読む前に思った疑問としては、
この本の表紙に「一生使える『頭がよくなる』読み方」とあるが、
これはいったい、何を意味するのかということ。

内容が『読んだら忘れない読書術』と同じということなので、
「1週間のうちに3回アウトプットして忘れないようにする」
といった意味なのではないかと予想した。

実際にこの本に書いてあるのは、
「『読書』を活用して、インプットをして、アウトプットをして、フィードバックをすることで、脳を進化させて『読書脳』を手に入れることができる。
読書をベースとして、読書力、理解力、文章力、アウトプット力、思考力、分析力、判断力を無限に進化させることができる!」(p.9引用)
ということだった。

『読んだら忘れない読書術』が出た当時と比べて、圧倒的にAIが日常に浸透している中で、
本書の重要性が指摘されている箇所である。

以下、この本を読んで得た新たな3つの気づき・名言を示す。

①本を読む動機は楽しいからであって、自己成長のためではない

これについて、てっきり樺沢先生は「自己成長のため」という立場なのかと思いきや、予想外だった。

ワクワクすることのほうが重要であって、「◯◯のためではない」。

この価値観の重要性は、読書に限らず、あらゆることに通じると思う。

たとえば学問。

私は大学教員として、「学問」を学生に教え伝える立場でもある。

学生が履修科目を選ぶとき、あるいはゼミ・研究室を選ぶとき、
「◯◯のため」とか「就職に有利だから」といったモチベーションが多い。

これに違和感を感じるのは私だけなのか。

「◯◯のために学ぶ」「答えを教えてもらう」のは「学習」であって、「学問」ではないはず。

「学問」というのは、何か見返りを期待してやるものではなく、
自分の好奇心にしたがって、「答えのない問い」に向き合うものではないのか。

「どこかに正解があって、その正解は自分が知らないだけであって、誰かエラい人が知っているんだ」と、端から思い込んで、そのまま大学を経て、社会に出てしまった人の多いこと。

正解なんかあるはずもない問題のほうが、圧倒的に多いのに。

むしろそっちのほうが面白いのに。

樺沢先生の立場でいうと、本を読むという行為も、
根本的には打算ではなく、自分の心を満たすためであるというのが非常に共感したポイントだった。

西岡壱誠の『東大生の本棚』という本にも、
東大生は「楽しみたいから読書をして、楽しみたいから読書に一手間加える」と書かれてあった。

彼らは楽しむために、書評やディスカッションなどのアウトプットをして、
自然と「読解力」や「思考力」を鍛えているのだという。

「頭をよくするために読む」のではなく、「楽しむために読んだ結果、頭がよくなる」。

「打算的思考」が流行っている気がする今日このごろ、
敢えて「結果にこだわりすぎず、読書を楽しめる方法を探っていく」のも大事ということだろうか。

「好きこそものの上手なれ」というか。
「自分の心が動く」という点に、
成長のカギは眠っているのかもしれない。

②読書のポートフォリオを作る~「分散投資読書術」

ネット情報、新聞、週刊誌などの「超短期投資」、
今すぐ活用できるノウハウの「短期投資」、
働き方や勉強法に関する「中期投資」、
心の栄養となる「長期投資」。

これらのバランスをよく保つということを意識しながら読書をしていくというのは斬新であったし、『読んだら忘れない読書術』ではすっかり忘れていた部分であった。

私が今年の1月から読んできた本を振り返ると、
短期投資にあたる本は4冊、
中期投資にあたる本は21冊、
長期投資にあたる本は18冊と、
短期投資が圧倒的に少ないことがわかった。

これだとたしかに、目立った結果は出にくいかもしれない。

今年も残り4ヶ月というところだが、短期投資の本は、少なくともあと10冊ばかり読んでおきたい。

また、自分で作成した読書用アウトプットのテンプレートも、
短期投資、中期投資、長期投資、それぞれのパターンを作成して記録したい。

③精神科医がお勧めする珠玉の31冊

この項目にある本の中で、読んでみたい本がいくつかあった。

まず「食」について。

よく、「あなたは食べたものでできている」と言われているが、
「脳」によいものというと、青魚を食べたりくるみを食べたりで終わっていた。

いちど腰を据えて体系的に学んでみたいという思いがあったので、
『脳が強くなる食事~GENIUS FOODS~』が気になっているところ。

それから、『使える脳の鍛え方 成功する学習の科学』という本。

私は職業柄、「教育」について試行錯誤の日々を過ごしている。

大学教員というのは、中学や高校の先生と違って、
教育面はきちんとレクチャーを受けていないケースが多い。

そのため、最初から我流になりやすい。

しかも学習指導要領があるわけではないので、
何を基準にして教育したらよいのかということも、
正直なところ、探り探り。

大学教員2年目の私。

教育に関する本を徐々に読み始めてはいるものの、
「脳科学に基づいた勉強法」を学ぶというのは、
また別の角度から教育について考えることになるかもしれない。

ということで、今回の『読書脳』を読んだことで、
これまでの読書習慣をアップデートするならば…

  1. ワクワクする本は即決
  2. 結果を出すためのノウハウ本を読んで短期投資
  3. 次に読む本は『脳が強くなる食事~GENIUS FOODS~』と『使える脳の鍛え方 成功する学習の科学』
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