とある大学教員のひとこと日常広場

計量経済学、所感。

今春、大学院を出てすぐ就職した県立大学。

そこで最初に任じられた科目が「計量経済学」。

私は普段、
産業連関分析をバリバリ使って研究しているので、
計量経済学もいけるでしょってことかもしれないけれど、
実は学部でちょこっと教わったくらいで、
記憶なんかほとんどない。

「むしろ私が教わりたいです」ってのが本音。

そんなわけで、3月くらいから
あらゆる教科書をかき集めて、
どうにかこうにか「繋いでみた」って感じ。

受講生には計画性がなく映ったかもしれない。

でもひとまず、全15回やり切った。

私、すごい。

幸か不幸か、
受講生はたった10人だし、
地方大学生に典型的な従順タイプの学生ばかりだったので、
とても教えやすかったし、
愛着も湧いた。

赴任したとき、
「うちの学生は従順ですが、
あまり飛び抜けた学生がいなくて…」
という説明を受けたけれど、
これは「教員次第で
いくらでも成長する余地がある」
ということなんだなと確信。

最初から個性が爆発して、
こっちの話に聞く耳をもってもらえなかったら、
大学なんか来ずに自分で勉学に励んでおくれってことになるし。

だからこそ、この大学では、
最初の時点で学力水準がイマイチでも、
講義が終わる頃には
「アグレッシブに自分で考えて議論できる」ようになっている、
みたいな教育が必要なのかも。

それには色々、教育の手法とか学びたいよね。

最後に、
計量経済学の知識がほぼない状態で、
「受講生に回帰分析の基本と実践を教える」ために、
これまで読んだなかで
どんなテキストが良かったか、
ランキング形式でまとめてみた。

1. 白砂 堤津耶 著『例題で学ぶ初歩からの計量経済学』
見た目は結構ゴツくて難しそうなのに、
1番分かりやすかった。
計量経済学の手法は
Excelの機能で超簡単にできるけど、
その計算プロセスとか、
結果の解釈はきちんと学ばないといけないと思う。
でも数理モデルは、
数学アレルギー持ち学生にはハードル高いし、
私も分かりやすく教えられるほど数学が得意ではないので、
ものっそい噛み砕いてるテキストはないか探しまくった。
このテキストの事例通りにExcelの課題ファイルを作ると、
私も学生も理解できたし、
なんとなく計算プロセスも体験できるし、
結果の解釈もできそうな気がして、重宝した。

2. 山本 勲 著『実証分析のための計量経済学』
こちらはKindle版で購入。
前半部分は分かりやすく、
計量経済学のおおよその全体像を掴むのに有効だった。
でも後半から急に応用っぽくて、
正直教えられる気がしなかったのでスルー。

3. 林 宜嗣・林 亮輔ほか 編著『地域データ分析入門 すぐに役立つEBPM実践ガイドブック 』
実証分析の手法を網羅的に、実践的に学べる。
私の本務校のような
地域経済系の学部・コースで教える場合、
ここまで到達できると理想的なんだろうな。
と思いつつ、
既に計量経済学の知識がある程度ない人にはキツい。
だから今年度は、こちらではなく
上記の1と2をメインに教材を作った。
来年度はプラスαで
このテキストの内容を盛り込みたい。

4. 江崎 貴裕 著『分析者のためのデータ解釈学入門 データの本質をとらえる技術』
計量経済学としてがっちり当てはまる本ではないけれど、
データを使って分析するうえで必要な考え方を分かりやすく学べる。
でもちょいちょいマニアックで高度な話が出てくるので、
情報の取捨選択は必要かも。

5. 山本 拓・竹内 明香 著『入門計量経済学―Excelによる実証分析へのガイド』
数理モデルの説明と事例がほしくて買った。
この本に記載された専用サイトにアクセスすれば、
事例としてのExcelデータが手に入る。
今ならこれらの事例も使いこなせるかもしれないけど、
初学者が学びながら使うにはちょっとハードだった。
数理モデルの説明は割と丁寧なので、
主にこのテキストを使ったけど、
本当に必要だったか、
学生が理解できたかは不明。

おまけ. 『SSDSE(教育用標準データセット)
この統計データ分析を用いた研究のコンペがあるらしい。
他大学の先生曰く、計量経済学の事例として参考になるもよう。
高校生部門もあるので、
「高校生がこんなことやってるんだから、
君たちもこれくらいできないとダメだよ」って教えると、
彼らは恥じてちゃんと勉強するらしい。

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