『観察力を磨く名画読解』(エイミー・E・ハーマン)を読んで
私は昔から、心の内界にばかり興味があって、
自分の外の世界にはあまり興味がなかった。
故に、観察力が欠如しているといってもいい。
まず、人の顔の認識能力が低いので、
一度名刺交換した人に
もう一度名刺交換をしてしまうという無礼を働いてしまう。
職業柄、メガネのおじさんがいっぱい周りにいるので、
顔と名前を覚えるのは苦行に等しい。
そんな、「視覚」にコンプレックスのある私は最近、
観察力を磨く本を読んだ。
エイミー・E・ハーマン(岡本由香子 訳)『観察力を磨く名画読解』
この本で、
いかに私たちはものを見ていないか
いかにものを見る力が大事か
が分かった。
- 見たものの情報を伝える側は、優先順位をつけるようにする。
- 優先順位のつけ方は、
「私は何を知っているか」
「私は何を知らないか」
「何を知らなければならないか」の三面アプローチが有効。 - 使わないほうがよい主観的表現は、
「明らかに」「間違いなく」
「決して」「必ず」
「現実には」「言うまでもなく」など。
などなど、一般的に観察力が求められるような、
警察官、CA、運転手だけではなくて、
研究者にとっても重要な能力であることが分かった。
じゃあ観察力をどうやって鍛えるか。
この本の随所に絵画を用いたワークが盛り込まれていて、
その都度アウトプットしていくことで磨かれる。
ただ、300ページ超ということもあって、
断続的に読んでしまったのがよくなかった。
1週間以内に一気に読んでしまった方が、
この本の成果を実感できただろうに…。
でも一つ、
観察力を磨く日常的なトレーニング法が
書かれていた。
ふだんの生活で使うもの(たとえば腕時計や、ハンドバッグ、水筒など)で訓練するのも効果的だ。
『観察力を磨く名画読解』p.57
構造が適度に複雑なものを選んで、一分間、集中して観察する。
観察が終わったら、それを見えないところへしまって、特徴をぜんぶ書きだすのである。
形、色、素材、ロゴ、寸法など、とにかくできるだけ詳しく書く。
それからモデルにしたものをとりだして、さっきよりも長い時間、観察する。
さっきの三倍(さっきが一分間なら今度は三分間)観察して、最初は気づけなかったことに気づけるかどうか試してみよう。
毎日、品を替えてこの訓練をすると、一週間後には集中力と記憶力が目に見えてあがっているはずだ。
実際にやってみたところ、
本当に観察力がアップして、
行動が変わって結果が変わる出来事があった
(でも残念、それが何だったのか忘れてしまった)。
こんな風に、
本文中にさらっと手法的なものが書かれているので、
読み返したときに、
「あれ?結局どうすればいいんだっけ?」現象が起こる。
本当にちゃんと鍛えたい場合は、
自分でこの本のポイントを整理する必要があるのかな。
まあ取り敢えず、
上記のトレーニングを続けてみようかな。
絵画の見方も興味があるので、
またこのジャンルの本を集めて読んでみよう。